【罪擦り編】

20/36
前へ
/202ページ
次へ
 しかし町田は、無表情で周囲を睨み始める。 「……もういい。なに言ったって、どうせ言い訳にしかならないじゃんさ。最悪だよお前ら……あたしは本当に教師じゃないしね」 「町田さん……」  数秒の静寂……町田は盛大に溜息を吐いた。 「ああぁぁーいいよ。あたしを選んだら、お前ら全員呪い殺してやるからさ。ははっ……ははは、みんな苦しんで死ねよ。あっはははは!!」  なんてこった。町田……とうとう自暴自棄になったのか。これはとりあえず、町田が教師ということで決着しそうだな。憂いの目を向ける僕の視界隅では、青山が鼻で笑い始めた。 「ああったく……こりゃ決まりだな。やっぱ町田と梶ヶ谷がグルだったんだ。怪しすぎだしな、お前らよ」  荏田は、それに同調するように頷く。 「それなぁ。ウチも思うわそれ。思った通りにならなくって壊れてんの。残念すぎでしょこいつ。それに、疑わしきはとか言うじゃん。こりゃもう決まりだよねぇ。ってかウチ、早く帰りたいわぁ……」  こいつはアホの子なのか? 疑わしきは罰せずの意味を、完全に履き違えているのだろうな。トイレのスリッパで飛行機に乗るくらいのレベルで。僕は胸の内で嘲笑ってやった。  すると隣で、啓介が迷いのある様子で唸った。 「そうだな……町田は良いのかそれで。もう時間がない、何か弁明しないとこのままじゃ、お前になっ……まちだ?」  町田はいきなり、カチャン……と眼鏡を無造作に机上へ転がせた。そして肩を揺らしながら笑い始める。どうやら、本当に壊れてしまったようだ……。
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

223人が本棚に入れています
本棚に追加