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機関銃の連射がおさまった後の様な、虚無的な静けさが教室を支配した。まるで時間が止まったようだ。町田がこんな本性を孕んでいたなんて……本当に人間怖い、怖すぎる。やっぱり関わらない方が、身のためだと実感せざるを得ないところ。
ところで僕は、そんな情報知らなかったぞ……荏田ってそういう感じだったのか。言わずもがな僕を含め、皆の視線が一気に二人に集中された。
「……っは? いい、いや知らんし! コイツの出まかせだろ。ウチは知らないから……」
荏田はすっかり視線が落ちてしまい、青山はバツ悪そうに顔を背けている。皆からの白眼視が痛いのだろう。でもなぜか神保さんは、たいして驚いていなさそうだ。まさか、知っていたのだろうか?
ともあれ、これで決まりか。壊れたように笑っている町田が処刑されれば、僕たちは出られる……良かった。でもなんでこんなことを、したんだろうか……自分が処刑されるかもしれないというのに。いろいろ恨みがあったというのは分かったが、そこまでリスクを負ってやることなのかは疑問だ。
すると沙羅が、場の空気を切り替える様に手ぶりを交え「と、とにかくさ……」と口を開いた。
「とにかく。みんな、もう時間。誰か選択しないと。十分話し合えないのは悔しいけど、現状自分の思ってる人に決めよう」
きっと僕は選ばれない。このままなら町田だ。僕は膝の上で町田を選択し、ほっと胸を撫で下ろした。その後、間もなくチャイムが鳴り、お決まりのノイズ音。
『お疲れさまでした。集計結果を発表します。六票が町田宇美へと投票されました。よって、処刑対象は町田宇美です』
六票……町田は放棄したのだろうが、他に誰か選択しなかった人がいるのか。すると町田は、操り人形のように変な立ち上がり方をし始めた。
「えっなに! これ……っきゃあああぁぁ!」
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