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『只今の処刑結果の発表です。町田宇美は生徒でした』
耳を疑った。この瞬間、場の空気が一気に凍り付いたようだった。僕は、ゾワッとした嫌な気持ちを抑え込むように上体を倒し机に俯く。目の前の手が、変な震え方をしていたのでグッと抑え込んだ。まだ終わらないのかという絶望、町田を選んでしまった自分への悔恨、次に自分が選ばれたらという畏怖が、頭に一気に押し寄せてくる。
沙羅は「そんな……うそ」と隣で悲哀を示す声を出した。そして続けざまに同様の声色で「これが処刑って、ことなのか……しかも町田は……違う?」と、啓介の声。
『それでは、二限目の授業を始めましょう』
まるで何事も無かったかのようにチャイムが鳴った。そして、スマホにはタイマーと選択画面が現れる。どうやら恐恐とする僕たちを、待ってはくれないようだ……。
僕は、止まりそうな呼吸を必死に整え、焦りを生み始めた頭を落ち着かせる。町田はもう死んだんだ。もう起こったことを、どうこう言ってもしょうがない。今考えるべきは、この中にまだ教師がいる。それは誰なのかということだ……いったい誰なのか、本気で考えていかないと。自分が、あんな目に合いかねない。嫌だそんなの……本気で、自分が生き残ることを考えないと。
弱い心から目を逸らす様に顔を上げると、手で口を覆い涙目になっている神保さんが映った。
「どうしよ……ころ、しちゃったの? 私何てこと……」
「待って。だって皆で決めたことだもん。真理亜だけの責任じゃないよ」
沙羅がフォローを入れた。
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