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「……あんたらの願いってのはわかった。みんなのためにそのリーダーってヤツを救いたいんだな?」
「はい」
俺の確認に当然のごとくうなずく。
「でもよ、そいつの回復と俺の死。そこにどんなつながりがあるんだ?」
「それはこれです」
そう言って美少女は、先ほどとは逆の手で光線銃を取り出す。
銃口は俺でなく空に向けられているのは、まだ撃つ気がないという意志表示の現れだろう。
「これはムーベという名称で、先ほどは搬送用の超圧縮機能モードになっていましたが、メイン機能は『地球人類の命を蘇らす道具』です」
「そんなもんがあるなら、俺を殺す必要なんてないだろ」
そのツッコミに美少女は静かに横にふった。
「我々の科学……もとい魔法という力をもってしても、まだ地球人類の言う『命』というものがどういうものか完全解明できていないのです。
故にムーベは無条件に命を蘇らせる道具とはなりえませんでした」
「つまり代償として、他の人間の命が必要ってことか」
俺は作り物の空を見上げ、そうつぶやく。
彼女の首がどう動いたのか、俺の視界には入らなかった。
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