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人馬の組合せは適性で決められ、騎乗者の希望は決定に左右されない。と言うより、希望は訊かれない。しかし、霞谷は確信に近い強い思いで黒三月と組む事を信じていた。それは何故か、と問われても何の理屈も根拠も無かった。
強いて言うなら、黒三月の何処迄も深いその紫の瞳が自分を見詰めて離さない――そんな気がしたからだろうか。
兎に角、彼是言っても鞍下に黒三月が居る――それが現実となった事は霞谷の胸中を喜びで満たした。
あの日から一日も離れる事無く共に過ごして来た日々。そして今――愛馬と共に戦地を駈けている事に霞谷の心は高揚していた。
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