「デート」

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 そんな事、あったんだっけ。  ……んー。でも快斗が言ってるんだから、あったんだろうけど。  ……全然覚えてないなあ。  あ。もしかして。 「それでオレが好きとか??……」  まわりに聞こえないように、そう聞いたら。 「いや。そうじゃないけど」 「けど?」 「……なんか愁って、オレがずっと人気あって、ずっとカッコよくてとか、思ってそうだからさ」 「……思ってるけど」  そう答えたら、快斗は苦笑して、肩を竦める。 「あったよ、そういうこと、何度か。女子絡みが多かったけど」 「そうなの? ……全然知らなかった」 「まあ最初以外は自分でどうにかなったけどね」  そっか、と頷きながら。笑んでる快斗を見つめる。 「――――……そうなんだ。モテすぎんのも大変だね」 「――――……」  オレがそう言うと。快斗はちょっと固まって、ん?と首を傾げて、それから、苦笑いを浮かべた。   「違う違う。そんな話してんじゃないんだって」 「――――……?」 「だからさ。カッコいいし、人気者なのに、なんでオレ?みたいなのが、愁からちょくちょく飛んでくるからさ」 「――――……」 「別にずっとそうなわけじゃないし、オレ普通の奴だしって言いたいんだけど」 「うん……まあ」  ……そりゃ普通、なんだけど……。  ……いや、普通よりはかなりカッコいいけど。人気あるし。  思いながら、かき氷の残りが大分溶けてきたのを一口飲みこむ。 「別に庇ってくれたから愁を好きになった訳じゃないし。そんなんで惚れたとか、ないけど――――……でも、愁の、そういう所が、昔からずっと好きだった、てのはある」 「……そういうとこ……って??」 「まっすぐで。人を傷つけないし。優しいし。誰かがこうだからとかオレもやるとか、流されないし。出来なくても投げないで、頑張る」 「……」 「……ん?」 「それ、オレのこと?」 「……うん。愁の事」  ぷぷ、と笑いながら、快斗がオレの頭を撫でた。 「愁はそういう奴だよ。……少なくとも、オレの前では、ずっと」 「――――……」 「……まあだから、友達としても、最高だったんだけど」 「――――……」  くす、と笑った快斗が、オレの耳に顔を寄せて。  口元隠して、囁いた。 「一歩進んで、キスしたいとか。触りたいとか、思っちゃったんだよね」 「――――……っ……」  こんな、周りに人がいっぱいいる健全な場所で、そんな事、囁かれて。  真っ赤になるオレに、快斗は、すごく楽しそうに、クスクス笑う。 「…………っ」  もー、すぐからかう……。  冷たい甘い水になったかき氷を口に流して、その冷たさに少し落ち着いた。
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