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フムフム、と相槌をうちながら聞く亜美。
「だから最近まで大変だったの。荷物なんてまだ奥の部屋に残ったまんまだよ。」
「そうなんだ?幸人くんも小さいし大変だよね。…今度落ち着いたら行ってもいい?」
「もちろん! 亜美いつでも来てよ。」
彼女ならいつでも大歓迎だ。
「でもさ、マンションって、お隣さんとかどんな感じなの?子供とかも多そう?」
「うん。隣は月岡さんっていって幸人と同じくらいの子供がいる人。美人さんでビックリしたんだよー。旦那さんも挨拶しに行った時に見たけど誠実そうな人。」
「そうなんだ?じゃあ、幸人君と仲良くできそうだね。よかったねー。」
うん、と凛子は頷いた。思い出してみると本当にあの後大変だった。
姫子は突然来るし毎日のように聡に電話はかかってくるし。おかけで新しいマンションの住所は向こうには伝えていない。
とにかく一旦は離れたかった。
聡ときちんと家庭を築き上げたいと思ったのだ。
「でもさ、凛子夫婦2人になったらどんなかんじ?毎日がラブラブなんじゃないの?」
「それが……。」
凛子は言葉を濁した。
そう。
夫婦2人でやっと平和な日常が送れると思っていたのだが、意外やそうでもなかったのである。
「どした?」
「んー……。亜美にだから言うんだけど、2人になったらなったで相手のやることなす事に目がいくようになった。」
ふふっと笑いながら打ち明ける。
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