0匹目!!

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「にゃー・・・・・・」 ん?、と振り返れば、 黄色い瞳の黒猫が1匹。 「おお? どしたニャンコ。」 野良猫ですかね? おまえさん。 猫はあたしを見上げて しきりに鳴く。 「にゃおーん・・・・」 「何言ってるのか わかんないけど、 可愛いニャンコだねー。」 よっこいせ、と 猫の脇の下に手を入れて 持ち上げると、あーら 立派なブツ。 君は男の子ですな? 「あー、雄に分類 されるものに久しぶりに さわったわ・・・・」 この考え方やばいな、 末期だ。 「なー・・・・」 猫は小さな声で鳴いて、 ゴロゴロと喉をならす。 可愛いなぁ、猫。 「ほら、もうお行き。」 あたしは猫を下ろすと スクッと立ち上がった。 すると、猫はあたしの 足にすりよってくる。 あちゃー、なつかれたか? 「こーら、なつくな、 うちじゃ飼えないんだから。 あたし、ほとんど家に いないし、あんたの 面倒見れないよ。」 それでもにゃうにゃう いうニャンコ。 「・・・・・・・・。」 ご飯ぐらいなら、 やってもいいか。 「しゃーないな。 ほら、おいで、 ご飯食べたら帰りなよ。」 あたしがこう言うと、 猫は黄色い瞳を キラッとさせて、 「にゃおん」と返事した。 くそう、可愛いな。 ************ 「ほら、お食べ。」 家に帰ってから、 そういえば猫のエサとか 家にないじゃん、 と気付いたあたし。 家の近くのコンビニに 行って、エサを買った。 「うまいかどうかは 知らないけど、 まあ、遠慮せずに お食べ。」 部屋に猫をあげて、 あたしが促すと、 猫は美味しそうに エサをモグモグ。 はー、食べてる姿も 可愛いねぇ。 あたしはというと、 スーパーで買ってきた おにぎり、サラダ、 シューマイをそのまま 皿にも移さず食べる。 女子力は消滅しました。 「なおーんっ。」 猫は食べ終わると、 満足げに一鳴き。 あたしはシューマイを 口に入れながら笑った。 「はい、ごちそーさま、 美味しかったね。」 猫は満腹になって 眠くなったのか、 あたしの膝の上で 丸くなる。 こら、動けないって。 「いいねぇ、猫って 気ままで。 つーか、あんた、 みたところ大人の猫 みたいだけど、 彼女とかいんのかー? んー?」 猫に何きいてんだ、 あたし。 でも、家で今まで 話し相手がいなかったから、 ポロポロから言葉が 出てくる。 「聞いてよ、あたしなんて 最後に彼氏いたの、 4年前だよ、 もー、男日照りヤバすぎ、 彼氏ほしー、人肌恋しー、 ははは、」 笑いながら、 虚しさがパワーアップ。 いいんだ、 あたしゃ仕事に生きる、 ていうか、それしかねぇ。 「あんたは素敵な お嫁さん見つけなね。」 あたしが撫でると、 猫は不思議そうに あたしの顔を見上げた。 こいつ、野良猫とは 思えないほど体が 綺麗だな。
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