その後の両家。

4/6
166人が本棚に入れています
本棚に追加
/780ページ
「このクマね、 前、大津くんが 遊びに来たときに 持ってきてくれた お土産なんだけど、 爽汰がものすごく 気に入っちゃって。 寝るときも食べるときも 出かけるときも放さなくて もー大変よ。 食べるときはやめなさい って言ってるんだけどね。 前、くまさんにお茶 かけちゃったから。」 ひよちゃんはこう言うと、 爽汰くんのほっぺたを つついて、 「ねー?」と訊ねて みせる。 すると、爽汰くんは ひよちゃんに手を伸ばして 「まま、だっこ!」 と、おねだり。 ひよちゃんが瀧本くんから 爽汰くんを受け取ると、 爽汰はひよちゃんに ぎゅーーーっと抱き付いた。 爽汰くん、 前会った時より いろいろ話せるように なってるね! 「どうぞ座って?? 瀧本くんも。 爽汰くん、 言葉も増えてきて 可愛い盛りだねーっ!」 わたしが言うと、 ひよちゃんはゆっくりと ソファに腰かけた。 そして、ふわりと笑う。 「可愛いけどどんどん 活発になって大変。 ハイハイじゃなくなって、 やっと畳で腕を擦らなく なったー!って思ってたら、 今度は転けないかとか 見とかなきゃだし、 もー、爽汰、全然 じっとしてないもんねー?」 ひよちゃんが爽汰くんに 悪戯っぽく笑いかけると、 爽汰くんはニコニコ したまま、 ぱっとくまさんで 顔を隠した。 それを瀧本くんが 愛しそうに見つめてる。 なんか、 二人ともパパとママ って感じだなぁ。 「って、爽汰のことじゃ なくて、美桜ちゃんは? あ、美桜ちゃん寝てる?」 ひよちゃんはベビーベッドを 見て、キョトン。 わたしはコクンと頷いた。 「そうなの、今ちょうど 寝ちゃってるの。」 「そっか、 じゃあお顔だけ 見ていこっかな。」 ひよちゃんはこう言って ベビーベッドの中を 覗き込んだ。 すると、慌てて 爽汰くんもママの後に ついて行こうとする。 「爽汰、おいで。 抱っこしたら見えるから。」 瀧本くんが呼び掛けると、 爽汰くんはパァアッ!と 顔を輝かせた。 「パパ、だっこ! パパっ!」 「はいはい。ほら、 爽汰、可愛い赤ちゃん。」 瀧本くんに抱かれて、 じーーっと美桜ちゃんを 見下ろす爽汰くん。 ひよちゃんは美桜ちゃんを 見て、ふにゃ、と笑った。
/780ページ

最初のコメントを投稿しよう!