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廃都ミセ
ザァザァと雨が降る中、僕は裏路地で膝を抱えて座っていた。
「……」
雨のせいで損傷箇所の自動修復が遅い。
せめて、屋根のある場所に入れたら…
でも、僕はそんな場所には入れない。
腕にある文字とその上の3本線…3度棄てられた証のそれは、僕が3度も棄てられたという「異常性」を意味するもので…
異常な物を、好き好んで招く者など…誰もいない。
「あぁ…」
僕は…壊れるんだ。
ぼんやりと、メモリーにそんな言葉が浮かぶ。
僕は……高級品として作られたはずだった。
「虐待人形」と呼ばれる…人々の鬱憤晴らしのために作られた…
今までに僕のご主人様になった方は僕を沢山使って下さった。
でも、捨てられてしまった…。
新しい、修復速度の速い人形が出たから2度…売りに出された。
そして最後のご主人様は僕をこの裏路地に棄てた。
「飽きた」
同じ機械人類であるご主人様がそう言って僕を棄てた…
この世界は…
自由な思考を許されたマシンノイドと、マシンノイドのために作られた奴隷マシンノイドが存在する…僕は後者だ…
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