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➖連絡する手段もなく、どうやって告白するのか?そこから考えてってこと?➖
正直言ってめんどくさい。
「ね、それにしても、あの子、可愛いよね?マスターの息子?いや、似てないか」
人に相談を持ちかけといて、司に気を取られてる。
「あのさ、楓!あなたがイケメン好きなのは知ってる。でも今はそこにいる司君のことじゃなくて、その先生の話をしてるんでしょ?」
苛立つ気持ちが隠せず、キツイ言い方をしてしまう。
「ごめーん、ついつい」
ペロッと舌を出す。
「可愛くないわ。で?何かヒントは?」
「んー、あ、今も塾の先生やってるって言ってた、でも昔のとこは辞めたって」
「塾の名前は?」
「聞くの忘れた!」
「一体なんの話をしてたの?コーヒー飲みながら。好きならそういう個人情報も少しは聞いておけばいいのに」
「おっしゃるとおりで、めっそうもない」
またペロッとする。
「可愛くないってば!じゃあせめて名前は?それくらいはわかるよね?」
「うん、神田さんっていうの、それだけはわかる」
「いや、下の名前は?」
「あれ?俊弘?だったかな」
首を捻って思い出そうとしている楓を見て、思った。
➖好きの意味がわからない!➖
でもまぁ、いつもは旦那の愚痴ばかり言ってたから、今日はそれがないだけマシかと思う。
主婦が集まれば子ども、旦那、義父母の愚痴のオンパレードだと思い知っている。
よくもまあ飽きもせずに言い続けられると、半分は聞いてなかった。
「情報としては、塾の先生、神田俊弘それだけ?あ、楓が好きってことは、イケメンってこと?年齢は?」
「年齢は、多分、40過ぎくらい、でもイケメンてわけじゃないよ」
「え?そうなの?」
「どちらかというと、野暮ったい感じ?この前会った時もね、赤いリュックとスニーカーだった」
「赤いの?」
「そう、それが印象に残り過ぎて、どんな服装だったかなんておぼえてない!あ、ドキドキしてたからおぼえてないだけかな?」
「イケメンじゃないってのが意外だわ」
「でしょ?私も不思議だもん、あ、でもメガネ男子だよ!そこは高ポイント」
「へぇー」
➖楓のこの気持ちは、恋だろうな➖
そう思った。
「とりあえず、探そう!それからだ、告白云々は。こういう人探しみたいなことはきっと由実子が得意かも?」
「あ、そっか、そうだね!じゃあそれから告白方法考えてね」
自分で考えなよーと言いながら、グループLINEに人探しのコメントを送った。
楓の好きな人の捜索願いとして。
誰かの既読が付く前に、続けて楓もコメントしていた。
てへぺろスタンプで。
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