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性欲…藍子目線
「あのさ、さっきから浮かれた人がここに1人いるんですけど?ちょ、うざいって」
ここは【春爛漫】。
由実子からの情報で、楓の好きな人を見つけて、めでたく楓は好きな人とLINEを交換することに成功した。
➖まぁ、おかげで私はめんどくさそうな告白の相談をされずに済んだんだけど➖
さっきからLINEをちょこちょこやり取りしては、ご機嫌な楓を横目に、藍子と澪と詩織は顔を見合わせる。
由実子は今日も仕事で欠席。
近頃この辺りの再開発計画が発表されて、土地の値段が上がりだして、不動産屋は忙しいらしい。
「そこの楽しそうな女はほっといて。みんなはどうなの?」
詩織も澪も、ごくごく真面目な主婦でお母さんだ。
それぞれに子どもがいて、ご主人ともとくに問題があるわけじゃない。
それでも。
「典子のことがあってからさぁ、考えちゃったよ私も」
クルンと巻いたウェーブの先が、ミルクティーに入りそうになって慌てる詩織。
「そう、私も。典子のことがあるまでは、こんな人生を疑いもしなかったけど。うまく言えないけど、何かが足りてない気がするんだよね」
黒髪ボブは、白い肌を際立たせて清楚な奥様の雰囲気だなと澪を見てると思う。
「その点、藍子は私たちより経験豊富だよね?人生が濃いっていうか、倍っていうか…」
LINEをしていた楓が言う。
「まぁね、結婚出産離婚だからね、次は再婚かな?」
➖もう結婚はうんざりと思ってるのに、1人は寂しい。子どもはいつか離れていくんだし➖
「再婚するの?今の彼たちの中に旦那候補がいるとか?」
アイスティーを飲み干して澪が聞いてきた。
「興味で質問してきてるね、もうっ。旦那になりそうな人はいないなぁ」
藍子は頭の中に3人の彼を思い浮かべた。
離婚してバツイチになった8年前。
何故か、離婚した途端にモテた。きっとあれが私の人生最大のモテ期だったと藍子は思い返す。
離婚して自由になって、いろんな男と出会ってちょっと付き合ってを繰り返して、今残っているのが3人。
楽しい男、優しい男、そこそこイケメン。
それぞれいいところはあるけど、結婚と考えたら誰も思い浮かばない。
再婚の条件としてはどうしても【収入】は外せない。
離婚の原因が、旦那の借金だったから。
「3人もいて、旦那候補はナシか。でもさ、いいよね、3人いるとさ、欲求不満なんてないよね?」
澪が言う。
それから少し声をひそめて、詩織が言う。
「私ね、めちゃくちゃに満たされるセックスがしたいの」
いきなりの詩織のカミングアウト。
「昼間っから何?」
「昼間だから言ってるの。夜だったらなんだかむしゃくしゃしておかしなことしそうだし」
ちょっと鼻息が荒い。
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