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日常…楓目線
「クシュン!」
ブルッと身震いがして目が覚めた。
毛布がはだけてるし。
枕元のスマホを見る。
あと30分でアラームが鳴る時間だ。
もう一度寝ようかと思ったけど、二度寝するともう起きられない予感がする。
➖仕方ない、起きますか➖
少し頭痛がするのは、昨日、年甲斐もなく大泣きしたからだろうな。
今日の散歩はどうしようかな?
➖あー、とりあえずこの頭痛を治さないと、もうすぐ旦那が起きてくる➖
あーぁと、ため息ともあくびともとれる深呼吸をする。
眠たい目をこすりながら、キッチンへ。
コーヒーをセットしてハムエッグを焼く。
➖いつものベーコンを切らしたから、文句言うだろうなあ、いつものことだけど➖
「おーい」
ん?呼ばれた?
「楓!、トイレットペーパーがきれた」
➖はぁ?そこにあるよね?トイレの入り口の棚に➖
いつものことで、さらに今日は頭痛がするから返事はしないことにする。
「いないのか?なぁ!トイレットペーパーないぞ」
ドアを閉めてキッチンへ向かってくる足音がした。
慌ててテレビのスイッチを押す。
「なんだ、テレビ見てたのか。あのさトイレットペーパーがないから入れといて」
「いつも言ってるよね?使い切った方が交換するってこと、すぐ前の棚に買い置きがあるんだからさ」
「だってきれちゃったんだから、入れといてよ、いいだろ?それくらい」
「それくらいって言うくらい簡単なことなんだから、そっちがやってよね!」
「いいよ、もう、ケチ!」
そう言うと新聞を持ってリビングへ移動した。
「あーもうっ!なんでいつもいつも!!」
もういいよと言うくせに、絶対自分でやらない夫。
たったこれだけのことが、少しずつ少しずつ積み重なってもう、同じ部屋にいたくない。
ん?
あーっ!ハムエッグが焦げた。
「ちょっとさあ、ベーコンじゃないし、ハム焦げてるし、何?これ」
いちいち文句言うやつだ。
「じゃ、食べなきゃいいでしょ?」
「焼き直して、ね!ハムでいいからさ」
「冗談じゃない、あんたは今日休みでしょ?私は仕事なの、自分でやってくれる?」
私は座って自分のハムエッグを食べ出した。
「ちぇっ!もういいよ、ケチ!」
また言った!
「あ、失敗しちゃった!」
私はワザとコーヒーシュガーを旦那のハムエッグにかけてやった。
「なにするんだよっ!」
無視して食べ続けてやった。
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