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11.
来週までにもう一つ、僕だけの一大イベントがある。十六回目の誕生日だ。
明人と神田さんが週末に来てくれて、叔父さんの手料理でみんなでお祝いをしてくれた。
それは嬉しくてありがたいことだが、僕は自分だけのお祝いの儀式として、璃果ちゃんの日記を読むことを何となく決めていた。
三年前、叔父さんから渡されてずっと読まずに飾っていて、インテリアの一部と化していたグレーの日記。その時期が来たとでもいうのか、不意に決断に至った。
誕生日の夜、自室に入りグレーの箱を手に取った。グレー、まずこの色に僕ははじめ引っかかった。璃果ちゃんらしくないからだ。淡いピンクや水色など、パステルカラーが好きだと思っていた……。
その箱は、簡単に開いた。中には同じグレーの分厚い日記が入っていた。
僕は、一ページ目から読み進めていった。八歳で病気がわかり、その後入退院を繰り返していた璃果ちゃん。十歳で亡くなる前の一年間は、ほぼ入院をしていた。これは、その頃の亡くなるまでの一年間の璃果ちゃんの気持ちが吐き出されていた。
吐き出す、書きなぐる、叫びぶつける……。
そんな表現が当てはまるような、心が痛い内容であった……。
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