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僕に対して、特に辛らつに書かれていた。それについて僕がショックかと言えば確かにそうであるが、どこか冷静に読むことができた。
十歳の女の子が書いたものを十六歳の僕が読んでいることがそうさせているのだと思う。
あの時の僕が、あの時の璃果ちゃんの気持ちを理解することは難しい。逆もまた然り。僕たちは、双子であっても別の人間であるのだと言う事を改めて思い知らされる。
僕は、静かに涙を流していた。璃果ちゃんのあの笑顔の下にあった本心、それに気づけない僕だからこそ、璃果ちゃんは思いっきり文句を書けたのではないかと感じたからだ。罵倒される役としての存在意義を感じると言うと、怒られるかもしれないが……。
何度願っても結末は変わらない。何度考えてもあの時には戻れない。僕はグレーの箱をぎゅっと抱きしめた。
璃果ちゃん……璃果ちゃんの葛藤は、よくわかったよ……。
葛藤の吐露とは別に、気になった記述があった。僕への不満や罵倒と同じくらい頻繁に書かれていたのが、璃果ちゃんの恋愛話だった。
その恋愛相手というのが何人も出てきて、その中に叔父さんの名前もあった。
叔父さんがお見舞いに来て母と交代し、車椅子で屋上に連れて行き、愛の言葉を囁いてはキスをするという、ショッキングな内容。
他はレントゲン技師のお兄さん、庭師のお兄さん、小児科の先生、製薬会社の営業マンまで、完全にフィクションとは言い切れない書き方がされているのだ。
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