28人が本棚に入れています
本棚に追加
『早くお座り』
そう言って紅茶を入れてくれた。僕から受け取ったモンブランもティーカップとおそろいのお皿に乗せて目の前に置いた。三つ目はお仏壇に。
『早くお食べ』
おばあさんは自分も食べ始めた。ここまでくると何となく、依頼の内容が想像できた。僕は深呼吸して落ち着いた。
『いただきます』
ティーカップは白地に美しい花が描かれていた。そういえば、母もこういうカップを集めていたなと思い出し、じっと見つめていた。
『紅茶は嫌いかい?』
『いえ、すごく綺麗なカップだと思って』
『ウエッジウッドだよ』
『これ、木で出来てるの?』
『バカだね。ウエッジウッドっていうイギリスのティーカップメーカーだ』
呆れたような、でも楽しそうなおばあさんの様子にホッとし、会話とお茶を楽しんだ。
『久しぶりに楽しかったよ。お前は素直で面白い。また依頼するからお前が来るんだよ』
任務完了。たぶん成功だ。叔父さんに早く報告をしたくて急いで帰った。叔父さんは、まだ帰っていなかった。僕は、緊張で疲れていたようで、すぐに寝てしまった。朝起きると叔父さんがキッチンにいた。
『グッジョブ』
僕を見るなりそう言ってくれた。おばあさんから連絡が来たらしい。褒められてたまらなく嬉かった。
最初のコメントを投稿しよう!