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僕は、叔父さんに聞いてよいものかどうかと一晩悩んだ。叔父さんは実際には読んでいないと言っていた。父から内容は聞いて知っているといっていたが、父が内容をピックアップして話している場合もある。
はっ!
思い出した……。世欄さんの言葉。
『あんたも、あの子も不毛な恋ばっかり』
不毛!まさに不毛だ!
いや、でもそのあとの言葉。
『他の女のこと考えて……』
とかなんとか。
なんとなく璃果ちゃんを『女』と例えるのが不自然だと感じる。それに叔父さんとはあの頃疎遠であったし、璃果ちゃんと個別に会っていたとは思えない……。
何より、叔父さんは年上の女性が好きな気がする。世蘭さんも確か年上だった……。
嗚呼、ああ、アアァー!
どうすればいいんだ?気になって全然眠れない……。
「フィクションだよ。あれは」
あんなに悶々としていた僕だが、次の日の朝、何も聞いてないのに叔父さんが開口一番そう言った。それはもう、あっさりと。
「え?なんで?なにが?」
「日記を読んだんだろ?」
事も無げに言う叔父さん。
「なんで知っているの?」
ちょっと超能力?ってくらい驚いている僕。
「誕生日の夜に読むんじゃないかなあって。ここんとこ毎年思っていた」
なんと、いつもながら叔父さんは一枚上手。
「全部フィクションてこと?」
探りながら聞いてみる。
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