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「リカは?」
「ごめんなさい。マネージャーが迎えに来てるから」
「もー、いっつもそうだよねー。リカちゃん付き合い悪いー」
「でもシンさん来るんでしょ。嬉しいわ」
「えー、シズカさんってあーゆー系が好きなんですかー?」
「細マッチョでしょ。シルバーフレームの眼鏡で冷たそうな感じもイイし。かなり好みかも」
コンコンとメイク室の扉をノックする音が響く。
「どうぞ!」
こういう時、答えるのは年長者のシズカだ。
「失礼します。お疲れ様でした。リカ、帰りましょう」
僕こと、リカのマネージャーのシンが入ってきた。
シズカがいうように、背も高くて細身だが、意外とがっしりしていて、顔も整ったイケメンである。
二十六歳という年齢より若く見えるし、十五歳からしたら丁度憧れる対象となるのかもしれない。
「お疲れ様でした。お先に失礼します」
僕は、さっさとメイク室を出て、撮影スタジオの前に停められている黒のセダンに乗り込む。
この車は、フォルムがカッコいいと意見が一致し、僕の叔父さんが購入したものだ。
「あー、つっかれた!」
「おいおい、すぐにカツラを取るんじゃない。誰に盗撮されているかわからないだろ」
「えー、だって蒸れちゃってかゆいんだよ。フルスモークだし大丈夫でしょ」
「いいから、まだかぶってなさい」
「へいへい、まったく叔父さんは用心深いんだからー」
「用心深くなきゃ、この商売は成り立たない」
車を走らせながらも、周囲の様子を注意しているマネージャーのシンこと、深海響が僕の叔父さんだ。
叔父さんは、探偵を副業にしている。
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