リフレイン

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リフレイン

 14歳の時。あの日、体育祭の振替休日で私は昼間、家で1人留守番をしていた。12時ぐらいに、普段は学校に行っているから見られないテレビ番組を見ながら、お昼ご飯に母が作り置きしてくれたパスタを食べた。お昼を食べ終わってから、自分の部屋にいって明日提出のプリントを書いていた。しばらくしてから私は、その日の気持ちの良い気温とちょうどいい満腹感から、眠くなってきてしまった。特にやることもないし、家族もまだ帰って来ないし。そう思って少し昼寝をする事にした。私はベッドに潜って目を閉じた。意識を手放すまでにそう、時間はかからなかった。  「お母さ~ん、お母さ~ん」  私はその声が聞こえて僅か三十分の眠りから覚めた。窓の外から、その声が聞こえてきた。私はベッドから降りて窓から外を見てみた。そこには小さな女の子が、1人、歩いているのがみえた。私は、即座にその子が迷子になっているのだと分かって窓からその女の子に声をかけた。 「ねぇ、大丈夫!?」 それでも女の子は変わらず「お母さん、お母さん」と言い続けていた。私の声が聞こえなかったのかな。そうも思って、私はその女の子の所に行く事にした。1人で歩いてて、事故にでもあってしまってはいけないし。玄関までかけて行ってドアを勢いよく開けた。そして女の子がいた道路に行ってみると、そこには女の子はいなかった。私は、疲れていたのかな。と納得し、自室に戻る事にした。  私には少し眠気が残っていたのでもう一度、眠る事にした。ベッドに入って、目を瞑った。しかし、今度はさっきの様に直ぐには眠れなかった。でも、もうここまで来たのならと、私は意地でも寝ようとした。ぼーっとドアを見ていた。そのうち、意識がぼんやりとしてきて、もう寝れる!と思った。その刹那、ドアがゆっくりと開いていくのが見えた。初めは風かと思ったけれど、違う。窓は全部閉めてある。私はその場所からしばらく目が離せなくなった。直感で嫌だと思っても、目を逸らせない。逃げようと思っても身体が動かない。一瞬で、私の心を支配したのは、恐怖。恐怖。恐怖。恐怖。ただただ恐怖という感情が、私の喉に詰まり、詰まって吐き出せない。私が恐怖に支配され続けているのに構わず、いつの間にかドアが完全に開いていた。そこには人影が見えた。  そこに立っていたのは…さっきの女の子だ。 「お母さぁん、お母さぁん」 初めて見た時と同じ言葉を口にしていた。彼女は同じ言葉を繰り返しながら私に近づいてきた。感情なんて物を知らない様な表情をしていた。私はあまりの恐怖と気味の悪さに、死を覚悟した。 「もう、ダメだ…」  私はハッと目を覚ました。今までの出来事は全て夢だった様だ。時間も寝てから三十分しか経っていなかった。しかし、全身、物凄い汗をかいていた。あんな夢をみたのだから、無理もない。私は小腹が減った気がしたので、アイスでも食べようと、ベッドから起き上がった。ベッドが、キィ、と小さな音を立てた。それと同時に、外から声が聞こえた。 「お母さぁん、お母さぁん」
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