工藤探偵事務所へようこそ

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「赤羽探偵事務所から失敗の連絡を受けたあなたは、オレに『会いたい』と連絡をしてきた。何ならオレと浮気でもしようとしていたんでしょう? もう一つの探偵事務所のカメラがきっと静香先生とオレの姿を捉えていたはずだ、ずっと誰かに尾行されてるのは気付いてましたよ?」  どういうこと?!  板の向こう側の二人が気になって気になって仕方ない。  何で所長と浮気をしようだなんて?  さっきご主人を愛しているって所長は断言してたじゃない!!  自分が浮気する場面をカメラに収めて、その写真を静香さんはどうするつもりだったの?! 「自分が浮気をしたという写真をご主人宛てに送るつもりなのでしょう?」 「いいえ」 「ご主人が浮気をしないなら自分が浮気をしたように見せかけて、別れてくれるのを待つつもりでしょう?」 「違います!!」 「ご主人はあなたのご病気のことまだご存知ないのでしょう? 知らせないつもりですか?」  病気?!  驚き声をあげそうになった私の耳にガラス扉を叩く音と人影。 「櫻子さん、お通しして」  お客様がいる時には絶対に他の方を通すことなんてしないのに?  所長の言葉に従って扉を開けた先には、博さんが立っていた。  どうして? と泣き出す静香さんを抱きしめる博さんもまた泣いていた。
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