工藤探偵事務所へようこそ

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「まずは報告書の中身をご覧いただけますか?」  報告書の中身は、バーでの隠し撮り写真。  それと秘書が赤羽探偵事務所に入っていく写真。 「彼女を雇ったのは、あなたですね? 綾瀬静香さん」 「いいえ。雇ったのは主人です」 「違います、彼女を優秀な秘書に仕立て上げ潜入させたのはあなたでしょう? 彼女は赤羽探偵事務所の優秀な探偵ですよね、あの事務所は確か別れさせ屋を得意としていた」 「……、北条くん、何が言いたいの?」  意味がわからないわ、と笑う静香さんの声が震えているのがわかる。   「あなたはご主人に浮気をさせてそれを証拠として別れたかった、だからうちに依頼した、そうでしょう?」 「そんなわけ」 「夕べのご主人の会話、聞いて頂いても良いですか?」  流れて来たのはあの会話。 『社長、一度でいいんです、どうか。今夜私と』 『僕は妻を裏切ることは絶対にしないよ、彼女を愛してるから』 「ご主人はあなたを愛していますよ、先生。そしてあなたもまたご主人を愛してらっしゃる」  え?! だったらどうして?  何故静香さんは別れさせ屋まで雇ってご主人と別れようとしていたの?
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