工藤探偵事務所へようこそ

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 綾瀬静香さん55歳、ご主人は10歳年下の貿易会社社長。  出会いは20数年前、同じ学校の教師として出会ったらしい。  その後ご主人が家業を継ぐため学校を辞める際に静香さんにプロポーズ。  一男一女をもうけ幸せに暮らしていたらしいのだが、最近入社した秘書との仲を疑っているとのこと。  ご主人のお写真を見る限りかなりのイケメンだ。  しかも同じアラフォーでも誰かさんと違って小綺麗だ。  優しそうだし、静香さんもお綺麗だしお似合いなんだけどなあ。  何が不服で浮気なんかするのだろうか?  若い子が良くなったから? 「静香先生を泣かせるご主人なんて、ありえない!! オレなら絶対泣かせたりしないのに!!」  子供のように頬を膨らまして私に怒ってもどうしようもないだろうに。  というか、所長? 「もしかして所長、綾瀬さんのこと当時好きだったり?」 「そりゃそうだよ! あんなキレイな人いなかったからね? なんだよ、10歳年下がオッケーなら、もうちょい下までストライクゾーン広げておいてくれたらいいのに。いや、今からでも遅くない! ご主人がクロだとわかったら、その後の静香先生の人生を支えていくのはオレしかいない!!」  私の質問に食い気味に答えた所長はとうとう一方的未来予想図まで描き出した、またネジが一本外れた模様。 「早速だけど櫻子ちゃん、今晩オレとデートしない?」 「ああ、尾行(デート)ですね」 「今夜は可愛く決めておくれ。ホテルの最上階のバーに行くんだからね?」 「……、了解です」  ため息交じりに事務所を後にして着替えをするために階段を昇る。  3階のワンフロアが私の部屋だからだ。
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