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仕事のことが頭から離れない
車でニ十分。どこに寄ることもなく、マイホームに帰巣する。新興住宅地に並ぶ建売住宅のひとつ、数年前に住宅ローンを組んで購入した二階建ての一軒家だ。
窓に明かりはない。
妻の和代はパートから帰っておらず、大学受験を目前に控えた、ひとり娘の遥佳も塾だ。
リビングに入り、電気をつける。人気のない部屋はより寒さを増す。
震えながら、暖房を入れた。
部屋に干された洗濯物を横目に、焼酎の湯割りをつくる。
冷蔵庫を漁り、見つけた煮干を肴に、ぐびぐび煽りながら脳裏に浮かんでくるのは、仕事のことだった。
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