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「じゃあ次は、黒木くん」
「えっ、俺?」
椅子がガタガタっと音を立て、驚いた様子で黒木くんが立ち上がった。
「俺のは " I want to be you. " 、直訳すると " 私はあなたになりたい " です。まあ...親父がプロボクサーなんで、俺も親父みたいにかっこよくなりたいなって。みんなとは違って、俺のは全然恋愛関係ないんですけど」
「この " I → U. " は恋愛とは限らないからね。とても素敵だと思う、ありがとう」
照れた様子で黒木くんが席に着き、クラスからパチパチパチと拍手が聞こえてきた。
一通り発表が終わり、みんなのいろんな " I → U. " を聞くことができた。
思い思いの"I"と"U"を思い浮かべながら、" → " の意味を考え抜いたのだろう。
18歳のみんなの素直な心の内を少し分けてもらえたような気がして、私の心も少しだけ豊かになる。
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