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〜憧れ・あなただけを見つめる〜
一目惚れ、なんてありえないと思っていた。その人の中身も知らずに好きになることなんてないって。
だけどあの日、私はあなたの笑顔に恋をしたんだ。
年に何度かある大会や練習試合。同じスポーツをしているあなたと会えるのはそんな時だけだった。
いつも勝ち上がる強い人、最初のイメージはそれくらい。
ある時、試合を終えたあなたを見つけた。
初めてちゃんと見た君の顔は、向日葵のように明るく輝く素敵な笑顔だった。
私はその笑顔に惹きこまれた。
話すこともないまま引退の時を迎えた。
進学した私は、部活動をやるつもりもなかった。だから、笑顔が素敵なあなたに会うことはもう二度とない、そう思っていた。
入学後、初めての登校は、思ってたよりも緊張しなかった。自分のクラスを確認して教室に入った時、目を疑うような光景に私は心が高鳴った。そこには紛れもない、遠い存在だったあなたがいた。
帰宅しようと思った時だった。あなたが声をかけてくれた。
部活、もうやらないの?
話しかけられたことよりも、私の存在を知っていたことに驚いてしまった。
なんて返事をしたのかはよく覚えていない。
話しかけられた嬉しさが、その日の帰路を明るく照らしてくれたような気がした。
結局私は部活を続けることにした。あなたがいたからではない。純粋にその競技がすきだったからだ。しかし、入学先は強豪校だった。練習の質は高く、最初は練習についていくのがやっとだった。
そして一年がたった。
文系と理系に分かれるためのクラス替え。お互い文系なのは知っていた。けれど、クラス替えであなたと離れるかもしれないと思うと、少し悲しい自分がいた。
そんな私に、神様は微笑んでくれたのか。
貼りだされた新しいクラスの名簿には、私とあなたの名前があった。嬉しくて思わずガッツポーズをしてしまった。
それから私達は、関わっていく中で恋心が芽生えていった。部内恋愛という形をよく思わない人もいて、苦しい思いをしたこともあった。
それでも…
あの頃、遠くから見つめていたあなたの笑顔は、今、私の隣で向日葵のように明るく輝いている。
他の人には見せない、あなたのとびきり優しい笑顔は彼女になった私だけの特権だ。
私はこれからも、あなたを見つめ、その度あなたに恋をする。
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