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林檎がみっつ
あたりまえだ。
サクラ達親子のしていたことは、れっきとしたヒト殺しと云う犯罪だ。
ヒトとして犯した罪の意識に両親はさいなまれても、サクラにとってそれはなんでもないことだった。
ただ、太って醜くなったこと、それが悲しいだけだった。
毎日毎日、泣いた。
やだよゥ痩せてないよゥ。
太ったサクラの体重は三二キロほど。
まだまだ命にかかわる軽さだ。
なんでよ!
サックのうそつき!
太らないはずなのに!
しかしひとしきり泣いて心の整理がついたら、すっとした。
冷静な頭で考えた。
考え、悟る。
これは呪いね。
そう、罰なのね。
私を命をないがしろにしたむくいなのね。
また食べられなくなったサクラ。
今度はもう、クローンも、林檎も、水すら飲むことも、なにも。
両親はもうあきらめた。
ただゆるやかに衰弱してゆく娘に、毎日はげましの声をかけた。
ありがとう。
サクラはかさかさの唇で、声でもなく告げた。
ありがとう、愛してた、私。
ありがとう、愛してた、父さん母さん。
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