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色素の薄いサラサラの髪。その色がよく映える白い肌。
ぱっちりした大きな目と、人形のように整った顔立ち。
もしかして、あの日式場の外にいた、愛想のいい子……?
そんな疑問を浮かべていると、リビングのドアが開き、誰かが出てきた。
「兄貴。明日仕事で帰り遅くなるから、夕飯作れないわ」
アナウンサーのような滑舌の良さで、一馬さんに報告したのは──。
長めの黒髪に、夜空の色をした神秘的な瞳の──私が一目惚れした人だった。
「わかった。じゃあ、夕飯は各自にするかな」
一馬さんは彼へそう答えると、呆然としている私に向き直った。
「あいつはもう一人の弟で、拓馬。俺の4つ下なんだ」
「は……初めまして。お邪魔しています」
慌てて頭を下げると、微かながらも会釈を返された。
一馬さんと同じくらい背が高くて。180cmは軽くありそう。
末っ子の春馬くんはまだ成長途中なのか、159cmの私より少し高い程度。
一馬さんは私の背中を優しく押してリビングへ案内してくれた。
「ソファに座って待ってて。お茶入れてくるから」
「あ、お構いなく……」
一馬さんがキッチンへ立ってしまい、私はリビングに弟さんたちと取り残された。
どこか気まずい雰囲気が漂う。
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