2.偽装婚約

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 色素の薄いサラサラの髪。その色がよく映える白い肌。  ぱっちりした大きな目と、人形のように整った顔立ち。  もしかして、あの日式場の外にいた、愛想のいい子……?  そんな疑問を浮かべていると、リビングのドアが開き、誰かが出てきた。 「兄貴。明日仕事で帰り遅くなるから、夕飯作れないわ」  アナウンサーのような滑舌の良さで、一馬さんに報告したのは──。  長めの黒髪に、夜空の色をした神秘的な瞳の──私が一目惚れした人だった。 「わかった。じゃあ、夕飯は各自にするかな」  一馬さんは彼へそう答えると、呆然としている私に向き直った。 「あいつはもう一人の弟で、拓馬。俺の4つ下なんだ」 「は……初めまして。お邪魔しています」  慌てて頭を下げると、微かながらも会釈を返された。  一馬さんと同じくらい背が高くて。180cmは軽くありそう。  末っ子の春馬くんはまだ成長途中なのか、159cmの私より少し高い程度。  一馬さんは私の背中を優しく押してリビングへ案内してくれた。 「ソファに座って待ってて。お茶入れてくるから」 「あ、お構いなく……」  一馬さんがキッチンへ立ってしまい、私はリビングに弟さんたちと取り残された。  どこか気まずい雰囲気が漂う。
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