最後の質問

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『これが私からあなたに対して行う最後の質問となりますが。何か言い残される事はありますか?』 『あると思うのか?』 質問を質問で返された私は、職業柄完全に染み付いている柔和な笑みを浮かべながら。 『いいえ。あなたは天涯孤独の身の上で、生涯に渡り誰とも何とも親交を結ぶ事の無い人生を歩んで来られた方ですから』 かなり不本意な形で私と会話を交わして来た人物は、皮肉気な表情を浮かべますと。 『人生の最後で、今まで会った中で一番性格の悪い相手と話す事になったがな』 『一番と評価してもらえるのは光栄です』 私は柔和な笑みを浮かべたままそう答えますと、拘束着を着せられてパイプ椅子に座らされている死刑囚の横に立つ看守に対して。 『お願いします』 『はい。お任せ下さい』 看守に連れられて処刑場に向かう死刑囚の背中を見送り、書類に処理済みと記載しました。
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