第5話

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 そんな中、ナインフォードお嬢様はある変わり者のテイマーと出会った。    お嬢様と同い年くらいの、お嬢様と息のあう心優しい少女と。  そのテイマーの少女は、愛玩動物でありペットとして飼うのが当たり前であったネコを守護獣にして連れ歩いていた。  気ままな性格でありながらも、愛らしい仕草や身のこなしで人の心を掴んでいるというネコだが、我らの会ったそのネコはケンカ慣れしたふてぶてしい態度をした個体だった。  テイマーの少女が言うには、以前は他のネコと同じように可愛らしい見た目であったと言うが、旅を続ける内にそのようになっていったらしい。  ならば、なぜ旅をする事になったのか、疑問を抱いた我らはそのネコに尋ねた。  愛玩動物として、安全な場所にいた方がはるかに幸福だったのではないだろうか、と。  ネコは答えた。  何が幸せなのかなど、千差万別。  飼いならされる事が幸福であると考えるネコが最近多くなってきたが、ネコは元々自由な生き物。  己の思うがままに、行きたい所に行きしたい事をする。  それがそのネコにとっての幸福だから、同じく自由を愛する少女と旅に出たと言うのだった。  それを聞いて我らは考えた。  我らは我らにとっての幸せを考えるべきなのだはないかと。  普通の幸福をえるなら、このまま村に帰って友人や家族を安心させるのが良いのだろう。  だが、我らはあの日の惨劇を忘れられない。  目をつむる事がどうしてもできなかった。  だから、我らはこれからも「勇者への復讐」を目的にして、その信念を貫き通す事にした。  おぼつかなかった旅にはもう慣れて、研鑽を積んだ我らのレベルは50程になった。  ここまで来ておいて、今更どうして目的を諦められようか。  我らの意見は、「このまま旅を続け勇者にケジメを付けさせる事」でまとまった。
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