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ちょっと待て。ここまでの内容でついてこれていない奴はいるか?
いない……な。大丈夫そうだな。
中村、この説明で”三次元”の定義は完璧に分かったか?
不安だな。一応、もう1回おさらいするぞ。
話の中で登場した奴らは、大きくまとめて六つ。
そして、それらには全て座標で決められた位置がある。いいな?
脱獄犯が出てきた地点を原点とすると、
X軸正方向にミシシッピ川警備隊、X軸負方向におばあさんがいたな。
同じように考えてみろ。
Y軸正方向には不良集団、反対のY軸負方向には半魚人。
Z軸では、正方向にUFO、負方向に脱獄犯、という位置づけだ。
このように、それぞれ垂直に交わる三つの軸で考えられる状態を”三次元”と呼ぶ。
”三次元”には縦と横に加えて、高さの概念が存在するから、覚えておけ。
ノートにメモしても損はしないぞ。
そこ! 授業中に私語は慎めと何回も言っているだろ!
え? 『ミシシッピ川警備隊』は誰が考えた話なのかだって?
俺だよ。完全に自作さ。
この話をするとな、”三次元”の定義が
不思議と皆の頭にすっと入っていくらしくてな。
それで、この単元をやるときは決まって、
『ミシシッピ川警備隊』の話をしているんだ。
え? 俺がなんで塾講師をやっているのかだって?
おい、関係ない質問をぶち込んでくるなよ。
まぁ、あの大人気アニメあるだろ。
何て言ったっけかなぁ……そう、『濡れ衣伝説』だ!
その主人公のエンザイ カブル君の等身大フィギュアを
一念発起して買おうと思って。
うん、俺は元々フリーターだったから、アニメを観る時間だけはあったんだよ。
言うなれば、小遣い稼ぎだ。ガハハハハ。
だけどな、他のことに結構出費してしまって中々貯まらん。本当に困ってる。
中村とかは『濡れ衣伝説』観てないのか?
そうかぁ、ジェネレーションギャップなのかなぁ。
さぁ、無駄話はここらへんで終わりにしよう。
え? 『ミシシッピ川警備隊』の話の続きが聞きたいだって?
お前らが集中して最後まで授業を受けられたら、話してやるよ。
だから、いいか? とっとと授業再開だ。
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