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多様な思考
①自己紹介
「主。お目にかかれて光栄です」
今、私の目の前にいる人はピシッとした服を着て、そう挨拶をした。
そこは、昨日の夢で私が思い描いた貴族の館の門の前だった。
まさか…科学的根拠というものは…
その途端に私の科学にもと付くような考え方が僅かにかけた。
私がポカーンとしていると、挨拶をした人の後ろにいた人が何故かニヤニヤと笑いだした。
「お前もしかして何も知らない能無しじゃね?あっでも変だなぁ…この世界は特別な能力が無いと主と慣れないはず」
どうやら挨拶をしていた人に今までの行動を
どのようにか抑えられてたらしいこれは…
はぁ…。どこにもいるんだよね、こういう男子。教師役だったら即座に解任にしよう。
「皆さん自己紹介をしてください」
私がそう言うと皆がざっと跪いた。
ビックッとしたが、また馬鹿にされたらたまらないので冷静な顔で頷いて見せた。
「ではまずは其方から、私を無能と言ったからには見本として完璧に出来ますよね?」
私が、許す訳なかろうという意味を込めて睨んで言ってみた。
何故か、私が睨んだ人以外の数人が肩を震わせて怖がっていた。まあよろしい。
「あぁ。わかったお前みたいな無能への見本になるようにやってやろうじゃないか」
いいやそれだけで済むわけなかろう。私はにこりと微笑んでから言った。
「いいえ。ここに居る皆さんの見本となるようにやってちょうだい。何より私に文句ばっかり言うのに、優秀でない人の大家になる気があると思って?」
なんだか、私の笑みは、黒い笑と言えるような笑みだったらしい。また、数人が怯えた。
「名前は鵫。側仕え。特に言うことなし」
よしこれを脅しに使おう。自己紹介は私にとって満足がいくものではなかった。
しかし、扱いと仕事の希望がないのなら何があっても文句は言えまい。
「ふふふ〜。では皆さん。お手本がこのレベルです。この者のように言いたいことなど要望があれば今だけ受け付けます」
一呼吸置いてから「では、順番に自己紹介を。順番は自由で今はいいわ」とお嬢様ぽく言ってみた。
そしたらその中の1人だけは少し尊敬するような目に変わった。元々挨拶をしてくれた人は、しっかりしていたが尊敬はしていないような感じだった。
その中で挨拶をした人が1歩前に出てさっきと同じように跪いた。そして、私を見上げた。
「ロワマと申します。21。側仕えそして副教師。そして筆頭側仕えです。一つだけお願いなのですが、言葉にすることをお許し願います」
毎回これを行うのはめんどくさいな…
「許しを与える。そして、私の筆頭側仕えであるロワマは私に意見することをいつでも許します」
驚いたようなロワマを見て、微笑んで付け足した。
「毎回このやり取りをしていては…会話が進みませんもの。しかし、それはあくまで意見であって採用するかは別です。ロワマは、優秀そうですから、何も知らない私にとっては採用決定みたいなものですが」
「左様でございますか。有難く存じます」
ロウマは認められた事が嬉しいようで微笑みながら感謝をされた。
「では要件を伺います。遠慮せず言ってください」
正直いって遠慮されたらこれからが困るはずだ。
「はい。私達の部屋の割り振りを手伝わせて頂きたいです」
部屋?なんの事だろう…
しかし、このような皆の前できくわけにもいかない。
任せようかな。
そもそも…よく分からないし…
「ええ。分かりました。私もその方が心強いですもの」
ロワマがほっとしたようだが、まだ不安があるみたい。
もしかしたら…ロワマは、私がよく知らない事を考えて、お願いとして私に恥がないようにしてくれたのかもしれないな。
「ありがたくぞんじます、お主」
そしてロワマと同じようにして皆自己紹介を始めた。
「私はFlower。側仕え。まだ未成年というところです。お主の身の回りの生活的なところを中心にお働きします。どうぞご配慮ねがいます」
というところ?よく分かんないな。
「ええわかったわ。どうぞよろしくお願いしますね」
Flowerは、金髪の女の子であった。
ちなみにロワマは、エメラルドのような色の髪で、男性だった。
「俺は、ユウラ。Flowerと同じ側仕え。あと二年で成人します。掃除などお任せ下さい」
「期待しています」
ユウラは、おっとりした性格と言っていいだろう。髪の色は茶色だった。
「私はロウナ。料理人として努めてまいります。美味しい料理を作れるように努力一筋を目標に頑張ります。あと一年で成人いたします」
「そう。頼もしいわ。後で自慢の腕前を見せてもらいます」
ロウナは女性で黒色と赤の髪の毛でとても明るい存在だった。
「私はカナン。ロウナと同じ歳。料理の力仕事は私に任せてください」
「是非お願いします」
カナンは、まだ、成人してないのにおとなっぽい。ロウナと髪の色がおなじであった。
「私はタカムと申します。主の護衛を努めます。私に詳しいことならなんなりとお聞きください」
「ええ。そうするわ」
タカムは鷹のような雰囲気。どちらかと言うとカッコイイ。髪の毛はまるで鷹そのものだ。
「…タカム。其方、とてもたk…」
思ったことを言おうとしたら、何故か周りの人の顔が曇った。何がダメなのだろうか、後でロワマに聞いてみよう。
ふぅ。このままなら喋っては周りの人が顔を曇らせるの繰り返しになる可能性もあるな。
「…いえ。なんでもございません。自己紹介を続けましょう」
周りの人々がほっとした顔になったのでこれでいいのだろう。
「では、私からでよろしいでしょうか…」
「いいわよ」
「お主の護衛を担当します。ハナノールでございます。私、とても悔しいのですが女性ですもので、タカムには能力がおとります 」
とても申し訳なさそうに言われたので私は、『能力は人によって異なります。努力してくだされば私は大丈夫です』と言おうと思った。しかし、言う隙を与えずロウマが、怒鳴った。
「自分の能力がないことを理由に護衛を怠ったり、守りきれなかったりすることは許されません!主をどんな時でも守るのがハナノールの仕事では無いのですか?」
ハナノールは顔を歪めながら「しかしっ、」
と言い出した。しかし、ロワマが止めるように口を開いた。
「主の前で言い訳をなさるつもりですか?
主、このように守れるか分からないような護衛をつける必要はありません。入れ替えた方がよろしいと思います」
なんて事だろう…ロワマは、生粋の゛主のためには゛と言うやつではないですか…
ふぅ。これは、夢の中で休めなさそうです。
「ロワマ…。わたくし…確かにそのような護衛はいりません」
そこで、私はいったん切った。
ハナノールは、「えっ。お、お主様…」といい、ロワマはやはりという顔で 、フッと鼻を鳴らした。私は平然とした顔を保ちながら続けた。
「しかし、そのような判断はこの目でハナノールの実力を見てないのに言うものではありません、軽率な行動はとってはなりませんわ。」
「もし、タカムの能力が普通以上で、ハナノールが普通だったらどうするのです?それでもハナノールは、タカムよりしたかもしれませんが、能力としては十分ではありませんか?」
そしたらさっきの反応とは2人とも真逆だった。
ハナノールはほっとしてロウマは、困って眉を寄せている。
さらに私は質問攻めをした。
「ロワマが私のことを考えて下っさっていることは既ににわかっていることですわ…
ロワマ、それでも言いますか?入れ替えた方が良いと。」
ロウマは、顔を歪めながら言った。
「お主様が最終的に判断するものです。お主様が満足なら私は何も言うことはありません」
これでハナノールも完全にほっとした顔になったのならこれ以上追求しなくてもいいよね!(多分)
「そう。ほっとしましたわ。私の意見が間違っているのならもう少し話す必要がありますけど今は、必要なさそうですね。」
必要ないと思ったが、何がダメなのだろうか。ロウマが渋々という表情で頷きながら返事をした。
「…はい。」
私はその後にロウマが、「今の所は仕方ないですね…」と言ったが、よく意味がわからなかった。
突然後ろの列の、背の高い男性からお叱りを受けた。
「いいえ。よくありません。後でゆっくりとお教え致しましょう」
その途端にロウマが、ひんやりとした笑顔になった。
「フラーヌ!お主が知らない事を知っていてその言い方はないと思いますが。お主の夢に住まわせて貰うのです。失礼に値します」
その場にいた皆が、後退りたいほど、怒っていた。
さらにロウマは続けた。
「それに、教師である其方は、それを一番知っていると存じます。この後、お主様に主に対して使えるもの達の普通のあり方を最初に教えてなさい」
「はい…」と言ってから、フラーヌという教師は私に向かって謝罪と自己紹介をした。
「名はフラーヌ。教師です。
この度は無礼を働いて申し訳ございませんでした。次は、無いと肝に銘じてこれから過ごします」
んっー。フラーヌは根からいい人なのか分からないな。初めからやるつもりでいたが個人的にも釘を刺してもいいだろう。おまけに脅しとこうではないか。
「そう。今言った言葉忘れてはなりませんよ?自分で次は無いと言ったのですから努力はして貰います。わたくしまでが、見苦しくならないようにお願いいたしますね?」
フラーヌはおどおどしながら返事をした。
「では最後ですね、自己紹介してください」
そう私は最後の一人にニコッと笑って言ってみせた。
「はっ、はい。
私はメリーユと申します。お主様の足の様になれるよう、努力いたします。馬車を扱うものです。どうぞよろしくお願い致します」
「ええ。私も貴方が私の足として誇りに思えるよう努力しなければなりませんね」
これで全員終わったかしら…えっと
「では、皆さんよく聞いて下さね?
残念な事に私はやる気のない人の大家いえ、主になる気は有りませんですの。
今回の自己紹介は第一印象となりとても大切な事なのです。人と関わる上で」
そこで1回切って 、皆を見渡してみた、数人が、理解出来てないような表情だった。
けれど、言いたいことを言ってからだ。質問は。私は大袈裟に、あぁと、言って言葉を継いだ。
「あぁ、そうでしたね。このような事は教師は勿論の事であり、かつ、絶対に側仕えはご存知ですよね。鵫とハナノールそうよね?」
そしてもう一言。
「あっ、いいや。ここに居る皆さんは基本中の基本として知っているのですよね…
ごめんなさいね。さっきの皆様を見て不安に思ったのですよ。でもまさか、わたくしと生活を共にする皆さんがそんな事を知らない無能では無いですものね?」
私はここに居る全員に釘を刺してみた。
このくらいで大丈夫かな。
考えていたら、呼ばれたので顔を向けて何?という顔をしてみせた。
ロワマはぎくっとしたような顔をしながら口を開き始めた。
「私達、一同はそのような無能ではありません。ねぇ?鵫とハナノール?皆さん?」
ほうほう、頼もしいわ。ロワマからも鶴とハナノールに釘を刺してくれている。可哀想なくらいだ。
皆が必死な表情でコクコクと頷いているのが見えて私は最後に釘が抜けないように追い打ちをかけた。
「あらまぁ。頼もしいわ。わたくし、今皆さんが言った言葉で心を染めますね。これから一生取れないと存じますわ。ふふっ、私と同じように皆の心も、私と同じように染めて下さいね。それとも女神に染めてもらいますか?女神はきっと、貴方たちの心を一生取れないように 、染めて下さると存じますわよ。女神は染めてない心に、許しを与えないでしょう」
絶対に忘れませんし、忘れるなんて許しませんという意味を込めて言ってみた。
皆が怯えを隠せない表情で、私を見てから跪いた。そして皆の心の声を代表するようにロワマが 口を開いた。
「私は既に染められました。取れることはないでしょう。他の皆もこれ以上女神の出番が無いくらい女神に染められているようです」
なんとロワマ、いや皆の心の声を代表したロワマに、これ以上釘を刺さないで欲しいと言われてしまった。まぁそんな可哀想なことをするつもりはなかったのだがなぁ。
まぁ適当に予告でもしとこうかな。
「ええ、ええ。女神も楽しみは後に取っておくでしょう」
サラッと後で染めることもあると予告したがロワマに伝わったみたいだ。とても頬が引きつっていた。
「フゥでは、側仕えはロワマ、Flower、ユウラ、料理人はロウナ、カナン、護衛はタカム、ハナノール、教師はフラーヌ、馬車はメリーユ。
任命致します。今言った人はお立ちになって?明日以降また来てください、その時に部屋などを決めたいのです。後、ロワマこの後、話をするから残ってくださる?」
「はい。了解しました」
はぁ、とため息をしながら私は鵫を見てロワマを見た。
「ごめんなさいね。ロワマがいた方がいいのよ」
そして、初めて見た目貴族の屋敷の中に入った。
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