第八章「対峙する闇」

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「お前たちをどうするか、じっくり考えてからまた来てやる。……生きて帰れると思うなよ」  すでに芦間さん、秋浜、圭介達を殺している犯人。その言葉には、脅しなんかではない凄みがあった。……殺される。このままじゃ、二人とも殺されてしまう! 「私も、スマホ取られちゃったの……。有沢、どうしよう」  恐怖に震えた声で、来栖川が言う。  その時、倒れたまま顔を上げた僕の視界に、あるものが飛び込んできた。準備室の出入り口の対角にある、片付いた低い棚。そこに、黒い物体がポツンと置かれていたのだ。  ……圭介のスマホだ!やはり、ここにあったんだ。圭介はやっぱり、美術準備室へ来る前に、秋浜に会ったんだ。学校の中で、二人は会った?なぜ、秋浜は学校にいたんだ?犯行現場は、学校?  ミシ……ミシ……。  美術室の床が軋む音が聞こえる。犯人が、教室から立ち去ろうとしているのだ。  ちょうどその時、僕の体中に激しい電流が走った。痛みなんかではない。バラバラだったパズルのピースが、一気にピタリとはまったような。感覚としては、それに近いものだった。 (千雪ちゃんは、同級生に興味ないもんねー) (先生、右手どうしたの?) (ある漁村にやってきた若者がいてさ。村人からも好かれるようになったんだよ。だけどそいつ、夜な夜な村人を殺してたって話) (有沢くんは、付き合ってる人いるの?私は……どうなんだろう。自分でもよくわからなくて) (10年ちょい前か。その日、月島先輩は仲の良かった同級生に告白されたらしんだ。だけどな、その後の昼休みのことなんだ。先輩が、屋上から飛び降り自殺したのは)  遠ざかる犯人に向かって、僕は大声で叫んだ。 「林先生!」  来栖川が、キョトンとした顔で僕の方を見た。 「……え?林、先生ですって?」 第8章 「対峙する闇」 ー了ー
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