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『私』の夢夢で候う①
私は目が覚めた。外は明るい朝であった。
今まで夢を見ていたようだった。
まだ、私の心は晴れていない。
今日は休日である。
子どもは学校が休みで外に行って遊び回るか、もしくは家でダラダラと過ごす。
大人は会社が休みでやはり家でダラダラと過ごす。
家事をする者は家族が家でダラダラとしているのを邪魔者扱いしながらダラダラと過ごしたがっている。
だけど、私はそれらのどれにも属さない人間であった。
私にとって休日とは悪夢のような時間である。
―ああ、そろそろだ。
私の部屋の鍵がついた扉の先では『戦争』がよく勃発する。
両親の怒鳴り声が聞こえたのならそれは空襲警報の知らせだった。
先ずは父の平手による空爆が御膳の上に叩き落とされた。
次に母がその応戦として口から嫌味という名の弾が連射する対空機関銃砲が炸裂した。
お互いはお互いを非難し合うことで自分の攻撃を正当化して辞めようとはしない。
私は枕という頭巾を被り、布団の防空壕に隠れてやり過ごすしかなかった。
だけど、いくら耳を抑えても、暗闇の中に潜んでも、外の激しい戦闘は聞こえてきた。
私はここまで攻撃の飛び火がくるのではないかといつも怯えている。
このように休日の朝におこる戦争の嵐は私の心臓をバクバクさせて生きた心地を感じさせなかった。
それなりの時間が過ぎて、外が静まった頃に私は恐る恐る布団から出る。
部屋に隠れ続けるのにも限界がある。第一、人は食べ物を食べないと生きていけない。
私は朝食を食べるために戦場へ出なければいけなかった。
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