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それは天井に大きな穴を開けて私の目の前に踏み落ちた。
その衝撃波に私は目を閉じて吹っ飛ばされそうになる。
何とか耐えた私は恐る恐る前を見ると巨大な鱗と思われるものがあった。先端は尖っており、危うく私の鼻がきり裂かれるところであった。
ハッとして古本屋の夫婦がいるレジを見た。
幸いその場所には落ちてこなかったらしくて無事であった。
古本屋の夫婦はすでに姿が消えていた。
きっと、先に避難したのであろう。
―私もここから脱出しなければ!
急いで私は古本屋を出た。
外に出て振り向くと私は唖然とした。
そこにいたのは巨大な怪獣であった。そいつが古本屋の建物を足で潰していた。
さっき、私が鱗だと思ったものは怪獣の足の爪だったらしい。
怪獣は全体的に黒かった。首はなく頭と胴体が一緒である。顔は中央に大きな目玉がギョロリと一つだけあった。
腕は何本もあり、触手みたいにウネウネ動いて気味が悪かった。
これは怪獣というよりもバケモノと表現したほうが正しい。
私はこのバケモノの正体を知っている。
奴はデカルトの言葉と出逢ったときに私の内側に生み出された『アレ』であった。
…自分で『アレ』を説明するのはなんだが恥ずかしい気がしてきた。
だけど、ここは『私の世界』である。誰も私をはずかしめることはできない。
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