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そして、父は母を両手に持って渾身の一撃を私である唯我独尊に叩きつけた。
唯我独尊は抵抗できずに家と共に叩き潰されてしまった。
唯我独尊の悲鳴が段々と弱々しいものになってくると私の目から涙が出てきた。
奴は私にとって大切な存在と言うわけではなかったが一方的にやられているところを見るのは胸が痛んだ。
そして、家が安全地でないことを改めて知って私はまた逃げ出した。
走って走って、次に私が辿り着いた場所は学校であった。
学校はすでに始まっている。私がいようがいまいが関係ない。
今私は学校を囲うフェンスの外側にいる。
校内は笑い声でいっぱいであった。
しかし、声はするのに生徒の姿は見えなかった。
それは私が彼らに興味がないからだった。それに彼らも私に興味はない。
だけど、いつも学校で聞こえてくる周りの笑い声は正直耳障りだった。
私がフェンスを握ったらカシャリと音がなった。そして、私の影から再び唯我独尊が現れたのである。
唯我独尊はフェンスを破り学校に侵入して暴れだした。
窓ガラスは割れ、花壇の花はぐちゃぐちゃに踏み潰された。
でも、安心して欲しい。唯我独尊は決して人間には害をおよぼさない。あくまで、学校の物を破壊する。
生徒は驚きの声をあげて先生は怒号を発していた。
そんな大混乱な学校を見て私はとても興奮をした。今私の体は隅々まで熱くなって強い快楽が巡った。
これまで自分の中で抑え込んでいたバケモノを外に出したことで私の体が羽毛のように軽くなったのである。
それに周りの声がでかくなる程、皆が私の中のバケモノのことを周知してくれる。
これは喜ばしいことだった。
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