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外に出ると改めてここが夢の世界だと思い知らされた。
まず、空の色が様々な絵具たちで塗り潰されていた。そして、それらはお互いに混ざることはなくグニャグニャと己の色を主張していた。
家などの建物に変わりはなかったが、道路は狭くてそこを走っている車は小さかった。
車の大きさは玩具のラジコンカーぐらいだと思われる。
道路はラジコンカーが通る分には余裕がある幅ではあったが大人の私が歩くのには苦労した。
なぜなら、動くラジコンカーを踏まないように神経を使いながら移動するので酒を飲んでいなくても私は千鳥足になって体勢が不安定であった。
そもそも、ここが夢だと分かっているならばラジコンカーを蹴散らしながら進んでもよかったのだが、今の私は怪獣ではなかった。
なるべくなら被害を出さない方が良いだろうと私は考えた。
―やれやれ、今度の夢は私に何を見せたがっているのだろうか?
私は下ばかり注意を向けていたので休憩が欲しくなり顔を上にあげて腰を伸ばした。そして、両足を目一杯に広げて通行の邪魔にならないようにした。
ラジコンカーたちは私の股下を潜り抜けて走っている。
しばらく、そのままの姿勢でボーとしていたら1台のラジコンカーが私の足に衝突して来た。
私はイタッ!と思い(本当は夢なので思い込みではあるが)、振り向いてぶつかって来たラジコンカーを見た。
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