『私』の夢夢で候う③

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 場面の切り替え、一瞬暗闇にはなったが気づけば地元の町役場の中にいた。  私はここで仕事をしているのであった。  辺りの様子を(うかが)うと私以外の職員は全員集まっているようだった。しかし、仕事始まりの朝礼はまだやってはいないらしかった。  とりあえず、私は三味線の音が聞こえず体調も元通りに戻っていたことに安堵した。  しばらくすると課長がやって来て朝礼が始まる。  課長が業務連絡のことまで話し終えた後、皆に合わせたい人がいるとしながらその人を呼んだ。  課長の紹介を受けた人間が現れた途端、私の目が眩んでしまった。  なぜなら、その人間には後光(ごこう)が差していたからである。  ―まさか、仏がやって来たというのか!  その神々しい姿にその場にいた全員は膝を折って仏に祈る姿勢となった。  仏は微笑んで毎日頑張って働く役場の私たちをねぎらうためにやって来たと言った。  さらに、褒美として皆の悩みを解決させてくれるらしい。  それを聞いてすぐさま私は仏の前に出た。もちろん、それは仏に悩みを聞いて貰うためであった。   私がこれから口にしようとするのは親しい人間にしか話したことのない秘事(ひめごと)であった。  ―仏様!私の母がでアルマジロになってしまいました。何卒(なにとぞ)、愚かな母を救ってあげてください  私は額を地面に擦りつけて懇願(こんがん)した。  それに対して、仏は微笑みを崩さずになぜ私の母が呪いを受けたのかを聞いてきた。  ―それはからです
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