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コウキとしては、先輩の仕事の内容にとりたてて興味があったわけではない。
そのため、質問を変えた。
「なぜその仕事を？」と問いかけたところ、冒頭の返答に至ったわけである。
だいぶ間があってから、コウキは当たり障りのなさそうな意見を述べる。
「まあ、仕事が生きがいって人もいますしね」
「そんなヤツ、実在すんのか？
え、じゃあ働かなくても衣食住が保証されていても仕事するのか、そういうヤツって？」
明らかに異常者の話でもするような口ぶりだった。
世の中の人間は全員自分と同じ価値観だと思い込んでいる典型なのかもしれない。
「長期の休みなんかあっても、3日目くらいからヒマすぎて何すればいいかわからなくなるって人もいるらしいっスよ」
「バカじゃねーの」
間髪入れず、強い口調で言ってから、もう一度念を押すように言った。
「マジでバカじゃねーの」
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