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……といういきさつで、コウキは先輩宅へお邪魔する運びとなった。
向かった先は、言いたくはないがこれ以外の表現がないボロアパート。
ゴミや脱ぎ散らかした服がうず高く積み上げられた典型的な汚部屋のなかに、ひどく異質なものがあった。
「これ……タワーPCじゃないスか」
コウキは思わず駆け寄り――というほどの距離もない6畳の部屋だが――、しげしげとながめた。
ゲームをする人間なら誰でも知っている、有名ゲーミングPCメーカーのエンブレムが神々しい。
「スペックはどんなもんです?」
「CPUは8コア16スレッド。
グラボはゲフォ最新を2枚。
メモリ32GB。
ストレージはM.2 SSD」
「……ちょっとよくわかんないっスけど、いくらするんです?」
「さあな。
支給品だ」
先輩はこともなげに言った。
まず30万では買えない。
40万でも無理ではなかろうか。
50万だとしても驚くに値しない。
一度でいいから、こんなマシンでゲームをプレイしてみたい。
きっと最高画質でもヌルヌルだろう。
こんな超高スペックPCが備品としてポンと支給されるなら本当にプロゲーマーなのだろうと納得せざるを得ない。
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