石油王謹製MMORPGのバーバリアン

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 ……というご自慢のキーボードは、長年先輩の指紋で磨かれすぎて、別の意味で光り輝いている。  キートップに印刷されていた文字は、主要なものはほとんど消えて存在しない。  おまけに使用頻度の高いAltキーには穴まで空いていた。  ログインすると、いかにもファンタジーな露天の立ち並ぶ通りを、大勢の人間が行き来している。  彼らの頭上には、等しく英字で名前が付属していた。  全員、このゲームのプレイヤーなのだろう。 「MMORPG……っスね」 「そうだ。かなり面白いぞ」そして先輩は、ゲーマーなら誰でも知っているようなタイトルを4つ挙げた。「その、いいとこ取りだな」 「……にしては、聞いたことないっスけど?」 「当然だ。  このゲームは一般に向けてサービスされていない」  コウキは怪訝そうな表情を浮かべたまま、先輩のタネ明かしを待った。 「この『エターナル・ラビリンス』は、さる石油王が自分が楽しむためだけに作り、運用しているゲームだからな」
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