石油王謹製MMORPGのバーバリアン

「犯罪歴とかカードの利用歴じゃねぇよ。
　ゲーム歴とプレイスタイルだ。
　どんなタイトルのゲームを何年やったか。
　廃人だったのかライト勢だったのか。
　ゲーム内外でトラブルはなかったか」

「なるほど。
　プレイ歴が長くてもコンテンツに行かないエンジョイ勢とか、やり込んでいてもSNSや某掲示板で炎上しているヤツはあらかじめ弾いて、当たり障りのない中間層を集めたいんスね」

　個人的には、そういうアクの強い輩の存在やちょっとしたトラブルもオンラインゲームの醍醐味だと思っているコウキ。
　プレイヤーを徹底的に濾過し、無味無臭の人々だけで構成された仮想現実(バーチャルリアリティ)がどんなものなのか想像できない。

「それで、実際楽しいんですか？」

「ゲームのシステム自体は大手MMOのメーカーが作ってるからな、面白くならないはずがない。
　おまけにどこで何をしていても不快な思いをしなくていいから快適さ。
　金をもらいながらこんなにいい思いができるなんてな」

　前世で一体どれだけ徳を積んだものやら――みたいな顔をする先輩。
　実際に横でプレイするのを見ていても、ぞんざいな口調とは裏腹に、ゲーム内ではかなりまともな人を演じていた。