愛しのあの子

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愛しのあの子

僕の名前は眞藤 聖也(しんどう せいや)、25才。身長173㎝、体重56㎏、インスタグラムと天体観察、料理が好きな普通の人間。 そんな何処にでもいる普通の人間、僕はある時、一生に一度とも思える運命的な出逢いをした。 「僕と付き合ってくれませんか?」 過去に付き合っていた子はいたものの、それとは比べ物にならない、運命を感じた人に真剣そのものと言える誠実な告白をした。 僕達二人が出会った場所、身も凍る寒さと、霊気の漂う___墓所の棺桶の前で。 「……………あの、とりあえず一ついい?」 「はい」  突然の告白に恥じらっているのか、彼女は棺桶の中から顔を出し、生気のない白い肌に、ほんのりと赤みが差し込んでいる所がまた可愛くて見とれてしまう。 栗色のふわふわと跳ねた長髪、血色の薄い氷のような肌、赤い唇の隙間から見える八重歯の牙が光り、彼女の妖しい光を帯びた薄紅の瞳が大きく見開いて、僕を見て言った。 「お前、頭おかしいんじゃないのか?」 _そう、僕は狂っていたと思う。一目惚れとは言え、こんなにも惹かれてしまう、愛しいと思える女の子に出会えた事を。
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