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シノの舞台は圧巻だった。初めから全員立っていた。シノは観客を煽るのも上手いし、この手の場には慣れている。安定の歌唱力。いつもはチケット代を払わなければ見れないステージを学校という場で目の当たりにできるというお得感。サビの部分では興奮しすぎて泣き崩れそうになる女子もいた程で。
しかし歌合戦の結果は、そんな女子達の予想を裏切るものになった。
縁が事前に準備していたネット上のアンケートサイト。そこに、どちらが良かったか投票して、自動集計するシステムになっていた。
軍配が上がったのは、光だった。
シノと比べると遥かに素人くさいステージ。でもついつい応援したくなる魅力。これからもっと大化けしそうな予感。さらには、いつも平凡を地で行く少女のステージ上での変貌ぶりは、集まった多くの男子勢に夢と希望と期待を与えたのだ。
「光、これからモテ期が来るかもね」
「そんなのいらない。私は、私は……」
「ねぇ、光。本当に諦めるの?」
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