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あ、と言う声がハモった。光と縁は顔を見合わせる。
「これ、きっと待ち合わせ場所だよ。だって、本当にある場所だもん! 光、早く行ってきな。シノは、光に会いたがってるんだ。あんな舞台の上じゃなくて、二人っきりで!」
◇
光が息を切らせながら自転車を漕ぎ、ようやく公園に着いた時には、すっかり空も暗くなっていた。街頭に照らされた公園。錆びた鉄の音がする。
光は自転車の脇にギターケースを置いた。歩くと、足元の砂がガサガサと騒ぐ。
揺れるブランコには、見慣れた背中があった。近くには、光と同じように自転車とギターが寄り添っている。
「良かった」
シノは、光の顔を見るなり心から安堵したようだった。
「せっかく『約束の場所』っていうカッコ悪いタイトルつけたのに。気づいてもらえなかったらどうしよーって心配してた」
「ごめんなさい。さっき、やっと気づいたの」
「ここ乗って」
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