ギター女子は勇気が出ない

12/14

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
 あ、と言う声がハモった。光と縁は顔を見合わせる。 「これ、きっと待ち合わせ場所だよ。だって、本当にある場所だもん! 光、早く行ってきな。シノは、光に会いたがってるんだ。あんな舞台の上じゃなくて、二人っきりで!」    ◇  光が息を切らせながら自転車を漕ぎ、ようやく公園に着いた時には、すっかり空も暗くなっていた。街頭に照らされた公園。錆びた鉄の音がする。  光は自転車の脇にギターケースを置いた。歩くと、足元の砂がガサガサと騒ぐ。  揺れるブランコには、見慣れた背中があった。近くには、光と同じように自転車とギターが寄り添っている。 「良かった」  シノは、光の顔を見るなり心から安堵したようだった。 「せっかく『約束の場所』っていうカッコ悪いタイトルつけたのに。気づいてもらえなかったらどうしよーって心配してた」 「ごめんなさい。さっき、やっと気づいたの」 「ここ乗って」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加