ギター女子は勇気が出ない

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「あんなの乱暴なだけじゃん! 光の方が百倍すごいんだから!」  なぜか、クラスの女子の中でシノ派と光派に割れて喧嘩が勃発してしまったのだ。  光は、なぜか女子にモテるようになっていた。歌う時だけは、邪魔にならないようにとサイドを編み込みにして髪をまとめて雰囲気を変える。ややクールな少女になるのだ。そして迷いなく刻まれるストロークと、繊細かつ丁寧で、正確さのあるアルペジオで魅せるギター。恋までいかない恋を叫ぶオリジナルソングも、その控えめで幼気な歌詞と切ないメロディで人気の理由になっていた。  一方、シノのファンは学内だけに留まらない。地元の箱で年に数回、先輩バンドの前座として登場し、その認知度と彼のカリスマ性がたくさんの男女を虜にしていた。ぽっと出の光とは違い、かなりしっかりとした地盤があるのだ。  睨み合う女子達。そこへ仲裁するように歩み出てきたのが縁だ。 「よーし、こうしよう。シノと光で対決してもらおうよ! 来週のどこかで、放課後、体育館を借りられないか、あたし先生に聞いてくる!」
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