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「光、出番だよ」
先行は、光。
体育館の高い窓から差し込むのは、彼女を照らすスポットライト。舞台からは、思い思いの格好で座り込む生徒達や、教師の姿が見える。
マイクは無い。
光は、チラリと舞台袖にいるシノの方を見た。目が合った。これは、光の勘違いでなければ、あの文化祭以来、合計百八十二回目のアイコンタクトだ。
すっと息を吸い込む。ギターをしっかりと身体に引き寄せ、ネックを握ると固くなった左手の指に弦が沿う。
「歌います」
人気者の君は いつも遠い
キラキラオーラがバリアになってる
君の歌う声は いつも綺麗
どんなに荒いサウンドも
汚すことのできない
透明を持っているのね
きっと
君が好き って言えたらいいのに
お風呂の中で お湯に潜って練習するんだ
恥ずかしさも シャボンに消える
朝起きた時も 今日こそはって
午後の授業
眠くなって外を見たら
窓際の君と目が合って
勘違いしちゃうよ どうしよう
君の彼女はどんな人?
それすら私は知らないよ
君はどんな夢を見る?
私は毎晩君と会ってる 眠りの世界
会えない君の寝顔を見たくって
睡眠学習みたいにして
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