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私の本気 耳元で囁くの
君と居たい って言えたらいいのに
一秒でいいんだ 君の彼女のフリをして
一緒に帰ろうって 誘ってみるんだ
その腕に抱きついて
嘘でもいいから
好きって言われたくなるなんて
病気でしょ
でもきっと言われたら
たちまち治る
諦められる
君が好き
諦めたくない
君が好き
君が好き
光が、弦の音をピタリと止めた。
外から、運動部の掛け声と笛を鳴らす音が聞こえてくるだけ。
一人、また一人とその場に立ち上がる。拍手がパラパラと響き始めた。それが少しずつ増えて、広がって、大合唱になって。
光は深く頭を下げると、そのまま逃げるようにして舞台袖に引っ込んだ。
次は、シノの番だ。
◇
「光、大丈夫?」
すっかり暗くなって、誰もいなくなった体育館前。上履きから靴に履き替える途中で機能停止していた光を、縁は乱暴に揺さぶっていた。
「私、勝負に勝って、恋に負けたのかな」
光はぼんやりとする頭で、先程までのことを思い返していた。
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