親愛なる友人へ

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親愛なる友人へ

保育園も幼稚園も行かなかった私に 初めて出来た友だち。 家は100メートルも離れていない。 小学生になる前にその子から急に 「遊ぼ!遊ぼ!遊ぼ!」 と声をかけてくれた。 来年小1になる子たちがやる旗取りを 小学校で集まった時だった。 鉄棒で1人で遊んでいた私の所に 凄い勢いでその子はやってきた。 びっくりしたけど嬉しかった。 毎日一緒に登下校した。 明るくて活発でよく喋って たまにケンカもしたけど ずっと仲よしだった。 私の憧れの女の子。 中学になっても変わらず 一緒に登下校していた。 中1でクラスは違ったけど。 さすがなことに、 すぐたくさんの友だちを作って、 厳しいバレー部にも入り、 頑張っていた。 いつもみんなに囲まれていた。 カッコ良かった。 そんな私の親友が みんなから無視され始めたのは 中2の時だった。 その子には、人の悪口を言う癖があった。 それが原因で部活でもクラスでも 女子から完全無視だった。 中2は私たちは同じクラスになれたから 二人でずっと一緒にいた。 こんなにずっと一緒だったのは 中2の時だけだったと思う。 中2の女子は怖い。 徹底的だった。 でも親友は頑張った。 毎日学校に来て、ちゃんと部外に行き、 怖い女子たちと話し合いもした。 私も同席したけど、 助けの言葉も、 むしろ一言も発することさえ出来なかった。 さすが凄過ぎると思ったのは 話し合いの後、 親友は、悪口を言った1人1人に謝りに行った。 しかも1人で。 私にまで謝った。 悪口言ったことあると話してくれて。 でもごめん。 私は本当は嬉しかったんだ。 無視されて、帰りに泣いてたりしてたのに こんなにも憧れの女の子と ずっと一年間居られたことが、 嬉しかったんだ。 いまでもその時の自分の気持ちは言ってない。 ごめん。 親友は 「一緒に居てくれてありがとう」 と言ったけど、 それは、私の言うべき言葉だよ。 私は中3になる時に転校した。 転校してもずっと文通していた。 携帯のない時代。 手紙の中には 無視していたボス的な女子と 楽しげに写った写真が入っていた。 親友は頑張って頑張って 信頼を取り戻したんだ。 やっぱり凄いな。 私の憧れの親友。 最初に友だちになってから 30年経つ。 未だに連絡を取り合っている。 今は結婚して子どもも二人いる。 幸せになってくれてありがとう。 私の親愛なる友人へ 「あの時一緒に居てくれてありがとう」
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