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「流れて行くな…」
正宏はポツリとつぶやいた。
「うん…」
千恵が返す。
「俺達もいつか,あんな感じに忙しなく生きんのかな?」
「さあね…そんなの分からない。」
屋上を走る風が,千恵のスカートを微かに靡かせる。
「俺は…」
正宏が言いかける。
「ん?なに?」
正宏は微かに微笑んだ。
「俺は,今の生活が幸せだと感じることもあるよ。」
千恵が笑う。
「私だって,そう感じる事はあるわよ。その回数は少ないけどね。」
そっか。と正宏は呟き,ある歌の歌詞を思い出していた。
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