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僕達は母が乗って来た機動兵器に2人で搭乗した。僕の操縦で宇宙港を出ると『レダ』の小惑星表面に降り立った。
「#1縮退炉のキングストン弁を抜いて縮退炉を暴走させるの。ボイド効果で縮退炉がマイクロブラックホール化する直前に#2縮退炉の磁気拘束でマイクロブラックホールを高速円環運動に入れる。その3マイクロ秒後に重力場ミラー効果で機体の半径100キロを空間跳躍させる事ができるわ。それで『レダ』毎、地球圏から外宇宙へ一瞬で跳躍するの」
「母さん、どうして、そんな事を知ってるんだ?」
「私の過去の記憶の一部が右のイヤリングにコピーされていたみたいなの。だから、この原理を知ってた……。でもこれをやれば貴方は地球に帰れないわ……」
その意味は分かっていたが、既に『レダ』は地球まで1時間を切っている。
「他に方法は無い。やろう、母さん! #1縮退炉全力運転。キングストン弁開放!」
縮退炉が『ブーン』という音から『キーン』という通常聴いた事のない激しい音を上げ始めた。
「#2縮退炉全力運転、磁気拘束回路へ接続準備! マイクロブラックホール発生まで、3、2、回路接続!」
その瞬間、地球へ15万キロまで接近していた『レダ』と共に僕達の機動兵器は空間跳躍した。
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